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     炭鉱

    vol.42 炭鉱電車

    大牟田に残る日本一古い電気機関車

     三池炭鉱専用鉄道で使われてた電気機関車を、大牟田の人たちは愛着をこめて「炭鉱電車」と呼んでいた。専用鉄道は、貨物輸送に重点が置かれていたのは言うまでもないが、従業員達が通勤に利用したり、また、一時的には地方鉄道として旅客輸送も行っていた。
     炭鉱電車の思い出としてよく語られるのは、従業員とその家族は無料で乗車できたので、それ以外の人もそれとなりすまして乗っていたとか、速度が遅かったので、運行中小便をもよおした乗客が窓から飛び降りて用便を済ませてから走って追いかけ元の車両に飛び乗ったとか、子供たちが十円硬貨を線路に置いて電車に踏ませてぺちゃんこにして楽しんだといった話などである。
     電気機関車は専用鉄道では22台が使われた。
     1911年に最初に導入された電機機関車はドイツのジーメンス社製のものである。凸型のユニークな形状をしており、長さ6.8メートル、幅2.7メートル、高さ4.2メートルで、重量は22トンある。4台輸入されたうちの1台が未公開ながら保存されている。
     次に、1915年に長崎の三菱造船所で造られた電気機関車が5台三池に来ており、うち1台が保存されている。国内で製造された最初の鉄道用電気機関車として貴重な存在である。ジーメンスの電気機関車をコピーして製造されており、全く同じ形状とサイズである。三菱造船所からは1917年に2台来ている。
     三池製作所製の電気機関車は、1917年から1934年まで6台記録されているが、ジーメンス社のとそっくりにコピーしたものと、同様の形状ながらやや大きめに造られたものがあった。三池炭鉱閉山後、三井石炭から三井東圧化学(現・三井化学)に引き継がれて使用されている電気機関車の中に、三池製作所製の1号機が含まれている。
     芝浦製作所(現・東芝)で製造された電気機関車は、1936年から1949年まで7台あり、うち6台は凸型の形状を踏襲しながらも、重量45トンの大型のものとなっている。1936年製の1台が保存されている。
     この他、旧国鉄と同じ1067ミリの線路幅のものとしては、三池港の構内で使われていたものが保存されている。重量15トンのもので、アメリカのゼネラルエレクトリック(GE)社製が10台と三池製作所製が2台記録されている。このうち、1908年GE製の1台が保存されている。形状はL型で、運転手が乗降するための扉がなく窓から出入りしていたとのことである。三池に来る前はパナマ運河で船を引いていたとも伝えられている。全体に偏平な印象と、速度が遅いことから「ガメ電車」(亀電車)と呼ばれていた。わが国に現存する電気機関車としては最も古いものであり、大変貴重なものである。1909年頃から万田坑をはじめとして、坑内運搬にも電気機関車が使われたしたが、これはもちろん、トロッコレールの幅に乗る車体の小さなもので、鉄道用のものとは通常区別して考えられている。

    ▼市で保存している車両は未公開

    このページは大牟田市役所に勤務する主査・主任で構成する互助組織「大牟田市役所主査・主任会」で編集され発刊された「大牟田の宝もの100選」の中から紹介するページです。 発刊時のデータをそのまま引用していますので、問合せ先等に変更がある場合があります。ご確認をお願いいたします。
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